約 3,152,089 件
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/145.html
預言者アルデン=スル 第二巻 サラセム ニュー・シェオスの壁に近づく者は誰でも、ある壮麗な光景に目を奪われずにいられない。円形の建物から突き出た簡素な塔から立ち上る、神秘的な炎だ。ある者たちはそれを強さと導きのかがり火として捉え、他の者たちは、自らの信仰に対するあざけりとして捉える。両者は、神の寵愛を求めて争う、いわば1枚の硬貨の裏表であり、その非常に興味深い衝突の中心点があの炎なのである。実に驚くべき過去を持つ、平凡な見た目の建物。それがアルデン=スルのサラセムなのだ。 サラセムそのものはアルデン=スルの生涯より以前から存在しているのだが、マニックス派もディメンテッド派も、サラセムの歴史に関して互いに激しく異議を唱えている。マニックス派は、ニュー・シェオスが存在する以前、アルデン=スルが初めて大啓示に苦しみ、盲人となった場所だと信じている。一方のディメンテッド派は、アルデン=スルが百日拷問に耐えた場所だと主張している。しかしながら、サラセムを預言者の名前と結びつけたのは、アルデン=スルの生涯にまつわるそのような言い伝えではなく、彼の死だったのである。 ここでもやはり、マニックス派とディメンテッド派は対立している。マニックス派が訴えるところのアルデン=スルの死は、サラセムにおける極上の酒宴の夜から始まる。その宴会では、まるで無尽蔵に用意されているかのように、グリーンモートと蒸留酒がたっぷりと供されていた。アルデン=スルと213人の信奉者たちは、勝手気ままな紛れもない乱痴気騒ぎにふけり、歌と踊りと姦通に満ちた夜を過ごしていた。盛り上がりが最高潮に達し、祝宴がめまぐるしい頂点を迎えると、アルデン=スルの信奉者たちが一人また一人と、地面に倒れ始めた。彼らの体から血が流れ出て、やがて地面は真っ赤な血の池に変わった。行き過ぎた快楽主義がついに牙をむき、彼らの心臓は破裂してしまったのだ。詳細は不確かではあるが、アルデン=スルは一番最後に、この上ない喜びの表情を浮かべて死んだとされている。 アルデン=スルの死へとつながる出来事としてディメンテッド派が語る物語は、それとは全く異なる。信奉者の一人がいつか裏切り者となり、自分の背中に剣を突き立てることを恐れたアルデン=スルは、人の魂の奥底をのぞいて本当の感情を暴く手段を探り始めた。徹底的な探求の後、他人の内臓の観察を通じて占う、内臓占いの極意を彼は見出した。この知識を身につけた彼は、信奉者たちをサラセムに呼び集めた。アルデン=スルから与えられたワインを飲んだ後、信奉者たちは身体が急に麻痺したことに気がついた。周囲に対する意識はあるのだが、動くことができないのだ。それからアルデン=スルは、まだ鼓動している信奉者たちの心臓を一人ずつ切り裂き、その血液を読んだ。213個の心臓を取り出してもなお、彼は裏切り者を見つけられずにいた。逆上した彼は自らの胸に手を伸ばし、自分自身の心臓を引きちぎった。その瞳から光が消える前に、アルデン=スルは皮肉な真実を理解したと伝えられている。彼こそが裏切り者であり、自害を運命づけられていたのだ、と。 そのどちらかの話を真剣に受け止める人がいようといまいと、あまり重要なことではない。大いなる注目を集めた預言者の死に場所として、このサラセムが重要な意味を持つという真実に変わりはないのだから。今日に至るまで、この建物はマニックス派とディメンテッド派との間で共有されたままなのだが、シェオゴラス閣下の気まぐれ次第で、気に入られたどちらかが支配することになるだろう。 SI 白1 神話・宗教
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/27.html
焼炉の適切な使用について ブラック・マーシュに住むアルゴニアの錬金術師は、長い間月の相が焼炉の正確な位置決めに影響を与えるという説を唱えていた。満月の間は焼炉を南に向け、南十字星と同調させる必要がある。南十字星が正確な南の位置よりややずれていることは周知の事実だ。この勤勉なる錬金術師は星図を参照して、特定の日時にはより正確に焼炉を配置するのだろう。 満月の後の各夜の相に対しては、焼炉を時計回しに28分の1ずつ回転させていく。もし北の姉妹星よりも南十字星に近づけすぎていたら、彼は焼炉を反時計回しに回転させねばならない。この装置は月夜に半分が照らされる場所に設置する必要がある。もちろん、新月の時は焼炉の全体が新月にさらされることになる。 焼炉を正確に配置すると、より純度の高い蒸留液47種のうちの一部を作り出す可能性がある。その効果は明らかではないが、これは非常に素晴らしい特性である。 茶3 魔法学・薬学
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/102.html
ペリナルの歌 第4巻:その功績 [編者注:1巻から6巻に収められた文章は、帝都図書館所蔵のいわゆるレマン文書から採られたものである。この文書は、第二紀初期に無名の研究者によって集められたもので、古代文書の断章の写しからなる。古代文書のそもそもの出所は不明であり、いくつかの断章は同時期に書かれた(同じ文書からの断章という可能性もある)ものと考えられている。しかし、6つの断章の成立時期に関する学術的な合意は得られておらず、ここでもその断定は避ける。] (ペリナルは)妖術師の軍隊をニベンより追い払い、東の土地全てをパラヴァニアの反乱軍のものにした。カイネは人間たちがそこで進軍のための陣をはれるよう、雨を降らせて村やアイレイドの旗が降ろされた砦から血を洗い流さなければならなかった。(それから)ペリナルはヴァータシェの扉を壊し囚人たちを解き放った。このとき、モーリアウスに乗った奴隷の女王が頭上を飛び、人間たちは彼女を初めてアレ=シュと呼んだ。彼はまた…… の門を抜け、その夜アイレイドに盗まれたセドール(今では誰も知らないが、当時は名高い部族であった)の千の精鋭の手を取り戻した。二千の手を魔族の骨で作られた荷車に載せると、荷車は女の悲痛な叫びのような音をたててきしんだ。 ……(文章欠落)…… クリーズ族の北方における勢力を強化した最初の大虐殺(の後)、彼は白い髪をエルフの血で茶色く染めてヘルドン橋に立ち、ペリフの鷹匠に導かれてきたノルドたちはその姿を見てショールの再来と恐れおののいたが、ペリナルはその名前を冒涜するかわりに彼らの足元に唾を吐きかけた。それでもとにかくペリナルは彼らを率いて西の大陸へ進み、アイレイド達を白金の塔の方角へと追い詰めていった。アイレイド達は突然自由になった人間たちの勢いと、この激しさがどこからもたらされたものなのかを理解できぬまま後退を余儀なくされていた。ペリナルは、ウマリルが反逆者の進軍を止めようと放つサンダーナックをメイスで砕き、「カイネの息吹」モーリアウスがくちばしの矢の一斉射撃で傷ついたときは、彼を賢しきツアサス(ケプチュの名を持つガネード)のもとまで運び治療させた。スキフ評議会において、パラヴァニアの兵士やノルドたちが白金の強襲に怯え、アレ=シュすらも決闘の延期を勧める中、ペリナルは激高し、考えなしに突き動かされてウマリルを罵り、まわりの臆病者たちを罵り、自力で白金の塔へ赴いた。 ダンジョン 歴史・伝記 赤1
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/77.html
神秘論 計り知れぬ旅 テトロニウス・ロル 著 神秘とは魔術を用いる者たちの間で理解の度合いが最も低く、見習い魔術師に説明するのが最も困難な魔術の系統である。一般的に神秘に属するとされる呪文効果は、死亡後に犠牲者の魂を封じ込める魔法的な容器を作り出す魂縛の呪文から、物体を遠隔操作できる念力の呪文まで非常に多岐に渡る。しかしこれらの効果はあくまでも呪文の結果に過ぎず、それらを引き起こす魔法的機序はタムリエル最古の文明、はたまたそれ以前にさえもさかのぼる謎とされているのである。 アルテウム島のサイジックたちは神秘を「古き法」と称している。この呼称はサイジックたちの宗教や慣わしなどをも意味するため、言葉的な意味を論じてしまうと語義論的な泥沼は不可避であり、宗教や慣習が魔術としての神秘の一部であるのかどうかも定かではない。 神秘の研究に生涯を捧げる魔術師は数少ない。他の系統の魔術の方が遥かに予測しやすく、究明しやすいからである。神秘はその難問および逆説こそを力の源としているようであり、いかに客観的な実験を実施しようとも、実験そのものの存在がマジカに影響を与えてしまうのである。よって神秘を扱う魔術師は、乱雑な魔力のうねりの中から信頼に値する法則性を見いだすことに甘んじる必要がある。神秘師が安定した発動機序と効果をもつ呪文を一つ編み出すのに要する時間で、他の系統の術師たちは十数種類の新たな呪文や効果を研究し、記録してしまいうる。よって神秘師たる者とは、根気が強く比較的競争心を欠いた哲学者でなければならないのである。 何世紀もの間、特に第二紀においては、神秘という名の元に一緒くたにされた魔術の諸要素に関する学説が各学術誌に続々と発表された。万物に答えを見いだそうとする魔術師ギルドの伝統に乗っ取り、名のある研究者たちが神秘の根源的な力源はエセリウスそのものであるか、あるいは想像を絶する強大な力を秘めたデイドラ的存在であろうと提唱した。どちらの説でも神秘がもつとされる乱雑性を説明できると考えられたのである。神秘が発動に成功、もしくは失敗した呪文の残留要素に由来するとさえ唱える者も登場した。アルテウムが再び出現した後のサイジック会内での議論に基づき、一部の学者は神秘が当初想定されていたよりも遥かに精霊的側面が小さく、信者の知性もしくは情動だけで魔力の構造や流れやに影響を与えうるのだと提唱した。 しかし、これらの個々の説のみでは満足のいく説明は得られない。神秘の探求を志す学徒にとっては、ここ数百年分の混沌の中から見いだされる典型的な傾向をおぼえてしまうのが最適と思われる。認識される模様の数が増えれば増えるほど、残りのものがより明白になっていくからである。もっともそれも、肝心の模様が変化するまでの話で、そのような変化は遅かれ早かれ訪れるのである。こうして再び探求の旅が始まるのである。 緑1 魔法学・薬学
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/144.html
エリトラの一生 カルメル 著 ここシヴァリング・アイルズの獣の中で私が選んだのはある奇妙な生物である。このエリトラ── 優しい生物がいたとしても最も優しい生物─ は私を自分の子と同様にその中に迎えてくれた。私は彼らの巣穴の中で、まるでそこが自分の粗末な小屋であるかのように生活を送った。実際、私は彼らの暖かい家庭に招かれたのだ。 エリトラに遭遇すると、多くの者はその姿を見て最初は不安になる。単にその大きさで人間のような種族のほとんどは不安になってしまう。肥大した胸部は人間の男ほどの大きさになり、胴回りとほぼ同じになる。私が最初にこの昆虫のような友人に遭遇した時は、肥大した胸部はエリトラが生きていくために不可欠なイコルを作るためにあるのだと信じていた。だが実は、胸部は彼らのかわいい命が誕生する大切な子宮なのだ。 しかし、胸部の下部近くにある角に集まるイコルの重要性を無視することはできない。この大切な部位からはほとんどの者が酸味があって酸っぱい(私は楽しいと思うのだが)と表現できる匂いを発している。このイコルにはエリトラの最も輝かしい目的がある。それは他の生物の生体組織を麻痺させ、エリトラの進出に抵抗できなくさせるのに使われる。ここは本当に輝く場所なのである。 適した宿主を選ぶと、エリトラはその生物に居すわる。呼吸する生物であれば、何でもこの目的に適している。私自身、エリトラ・マトロンが単純なウルフから優秀な錬金術師カジートまでの生物を選ぶのを目撃した。毎回、宿主は注意深く選ばれる。確かに、アイルズの迷信を信じる農民はエリトラはどんな生物でも攻撃すると言うが、私は目撃してから、彼らがそれぞれの宿主に最大限の注意を払って近づくことを知っている。 宿主は刺されると、その体はイコルの溢れんばかりの甘さで満たされる。エリトラの毒針が優しく捕らえた宿主に刺さると、その不思議な性質によって静かに、すみやかに息を引き取る。宿主が死ぬと、エリトラは宿主のまだ温かい殻の中に卵の巣を作る。そこで、卵は宿主の体を餌にしながら、数日間以上かけて温まり、成長していく。その後すぐにヒナが出てくると、よろめきながら巣立っていくのだ。 SI 生物学 茶2
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/140.html
黒い矢 第1巻 ゴージック・グィネ 著 ウォダの女公爵の夏の邸宅地に召使いとして雇われた時、私はまだ若かった。それまで貴族の称号を持った人たちと接する機会など、ほとんど無かった。エルデン・ルートには豪商、貿易商、外交官、それに役人たちが大きな事業や娯楽のための派手な邸宅を持っていたが、私の親族は彼らのような社交界の人たちとはまったく無縁だった。 大人になっても手伝う家業はなかった。そんな折にいとこから、遠く離れた地所で召使い募集の噂話を聞いた。そんなに遠くでは志願者も少ないだろうと思い、私はヴァレンウッドのジャングルをひたすら歩いて向かった。歩いて5日がたとうとするころ、同じ方向へ向かう騎馬の一群と出会った。ボズマーの男が3人に同じくボズマーの女が1人、ブレトンの女が2人、ブレトンの女が2人、ダンマーの男が1人。皆そろって冒険者の身なりであった。 「あなたもモリヴァにいくの?」そう聞いてきたのはブレトンのプロリッサだった。それから私たちは互いに自己紹介をした。 「そこかどうか分からない」と私は答えた。「ウォダの女公爵のところで仕事があると聞いて向かってるんだけど」 「それなら近くまで連れて行ってあげるよ」ダンマーのミッソン・エイキンがそう言うと、私を馬の背に引っ張り上げてくれた。「でも、モリヴァに戻る学生たちに送ってもらったなんてことは女公爵には絶対に言わないほうがいいよ。雇ってもらえなくなるかもしれない」 馬に乗っている間、エイキンは自分の身の上話を聞かせてくれた。モリヴァは女公爵の地所から一番近くにある村で、そこにすばらしい腕前の有名な弓の使い手がいるとのことだった。長年の軍隊生活のあと、そこで隠遁生活を送っていた。彼の名はヒオメイスト。引退したにも関わらず、弓術を学びたいと訪れる生徒を受け入れていた。そのうち、偉大なる教師がいるとの噂が広まり、彼の元をたずねる生徒があとを絶たなくなった。ブレトンの2人はハイ・ロックの西地区からやって来たと言う。エイキンもモロウウィンドの大火山近くにある故郷からはるばる大陸を渡って来たのだ。彼は故郷から持ってきたという漆黒の矢を見せてくれた。私はこれほど見事な黒を見たことがなかった。 「聞くところによれば……」とボズマーのコペールが言った。「女公爵は元は帝都の人間だったが、帝都が成立する前に家族全員でこの地に移り住んだらしい。そうすると、彼女もすっかりこのヴァレンウッドの地に慣れ親しんでいると思うだろ? ところが実際はそうでもないらしい。この村とその弓学校を嫌っているそうだ」 「彼女はジャングルの中の交通網でさえ、支配下におさめようとしてるのよ」と言ってプロリッサは笑った。 情報をもらって礼を言いながらも、その偏屈そうな女公爵に初めて会う日がだんだん恐ろしく思えてきた。木々の間から初めて邸宅が見えた時でさえ、心の不安は何一つ晴れなかった。 それはかつて、ヴァレンウッドで見たことのないような建物であった。石と鉄とが組み合わさってできたその巨大な邸宅には巨獣の顎のように尖らせた胸壁が並んでいた。邸宅近くにあった木のほとんどが、ずいぶん前に切り倒されたようであった。その当時はひと悶着起こったであろうが、女公爵はバズマーの農民など恐れていなかったようだ。邸宅は木々に変わって灰緑色の堀で囲まれていた。それはまるで人口の島のようにも見えた。このような光景は、ハイ・ロックや帝都からもたらされたタペストリーの図柄で見たことはあっても、故郷では決して目にしないものであった。 「門のところには門兵がいるようだから、このへんでそろそろお別れだ」と言いながら、エイキンは馬をとめた。「ここまで私たちと一緒に来たことは内緒だよ」 私は彼らに礼を言って、彼らの弓術の腕前が上がるよう幸福を祈った。彼らは馬を進ませ、私は歩き始めた。すぐに正門のところへ着き、気づくとそこは厳重にも頑丈そうな警備がしかれた高い柵があった。門兵に召使いの仕事を探しにきたことを告げると中へ通してくれ、門兵は先に広がる芝生の反対側にいるもう1人の門兵に指示を出し、跳ね橋を下ろして渡らせてくれた。 最後の警備網、正門にたどりついた。門の上には巨大な鉄製のウォダ公の紋章がかかげられていた。その上にはさらに鉄片で強化されており、金であしらわれた鍵穴が1つあった。門兵がドアを開けてくれ、灰色の石材で積み上げられた、陰鬱かつ巨大な邸宅内へと招きいれてくれた。 女公爵とは客間で挨拶を交わした。彼女は爬虫類のように痩せて、皺だらけだった。この時はシンプルな赤色のガウンを着ていた。彼女は決して笑顔を作る努力をしない人であることは明らかだった。面接の質問はたった一つだった。 「帝都貴族に雇われた若い召使いの仕事とは?」と聞く彼女の声はしなびた革のようであった。 「わかりません」 「そう。これまで見てきた召使いたちは自分に何が求められてるかなんてまったく知らなかったわ。仮に知っていると答えたとしても、私、そんな召使いは気に入らない。あなた合格よ」 邸宅内での生活にはたいして楽しみもなかったが、一番下っ端の召使いの仕事はそれほどきつくはなかった。女公爵の留守番以外にすることがほとんどなかったのである。暇な時は2マイルほど歩いてモリヴァまで行った。ヴァレンウッドの同じような村でもそうだが、この村でも特別変わった出来事は起こらなかった。だが、近くの丘陵斜面にはヒオメイストの弓術学校があり、時々お弁当をこしらえて、練習を見にいった。 プロリッサとエイキンとは練習のあと会うようになった。エイキンの話す会話のテーマはもっぱら弓術に終始した。彼のことは好きだったが、プロリッサのほうが魅力ある人にうつった。美しいブレトンだったからではなく、彼女はどうやら弓以外の世界にも興味があるようだったからだ。 「小さい頃にハイ・ロックでクイルサーカスを見たわ」ある時、森を歩きながら彼女はこう話し出した。「老いも若きも知っているほど長いことやっているわ。あなたももし機会があれば、是非見にいくといいわ。芝居あり、余興あり、あっと驚く曲芸や弓芸も見られるわ。私もいつかは腕を磨いて、あのサーカス団に加わることが夢なの」 「いつ腕が磨かれたかなんてどうやってわかるんだ?」と私は尋ねた。 その問いかけに対して、彼女からの返事はなかった。振り向くとそこに彼女の姿はなかった。周りを見渡しながら困惑していると、頭上の木のあたりから笑い声が聞こえてきた。彼女は枝の上に立ち、にっこりと微笑んでいた。 「私は弓の使い手としてじゃなく、できれば曲芸師として参加したいの」と彼女は言った。「もしくはその両方ね。ヴァレンウッドは学びの場としてもっとも適した場所よ。ここの森にも教えを請うべき偉大な先生たちがたくさんいるわ。たとえば猿人とかね」 彼女は一旦体をかがめ、左足で踏ん張り、右方向へ飛びはねたかと思うと、さっそうと別の枝へと移っていた。彼女に話しかけ続けるのは大変だった。 「それってイムガのことかい?」と私はどもりながら言った。「そんな高いところにいて、怖くない?」 「平気よ」と彼女は言いながら、さらに高い枝へと飛び移っていく。「秘訣はね、下を見ないこと」 「降りてこない?」 「そのうちね」と彼女は言った。今や地上から30フィートの高さにいる彼女は、バランスをとるように腕を伸ばし、細い枝の上を歩く。そして、道の向こう側にかろうじて見えるほどの門を指差し、「この木から女公爵の邸宅に手が届きそうだわ」 彼女が枝から飛び降りたその瞬間、私はハッと息をのんだ。彼女は宙返りをしながら、膝をやや曲げて見事に着地して、「これも技の1つよ」と言った。私は、あなたならきっとクイルサーカスの花形団員になれると激励した。もちろん、今でならそんな未来は訪れないことを知ってる。 その日は早めに邸宅に戻らなければいけないことを思い出した。私にはめったに仕事がないのだが、女公爵に来客がある時は邸宅内にいなければならなかった。それもたいした仕事ではなく、晩餐の間、気をつけの姿勢で立っているだけであった。目の前を執事や給仕係が忙しなく料理を運び込み、空いたお皿があれば下げていく。しかし召使いの私は、この部屋では形式ばったただのお飾りとなるのであった。 しかし、少なくとも私はそこで、その後起こるドラマの─観客となった。 赤3 随筆・ルポルタージュ
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/166.html
戦士の突撃 レッドガードの古い詩 天空は歌う 広大な物語 ヨクーダの髪の銀に包まれ、 色様々な帆 その戦士 彼の突撃は大蛇の罠へ 星々の大公 飽き気味で、 船を降りて 夜の冒険 偶然にも起こす、巻かれた大蛇 鱗の衣を剥ぎ取りまとう 東の淑女 恐ろしき獣 寝ても覚めても恐れさせ、 天空の光を 眼にして叫ぶ 見るも恐ろしい 一本の大蛇 鎧をまとう駿馬 遅れまいと 取りそこなわないために 夜を走る 輝く鱗に 戦士の加護を離れ行く 大蛇がうごめき 駿馬は近い 獲物は目の前すぐそこに 戦士の刃が大蛇を挫く そして二度と襲わないと誓う 緑3 詩歌
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/36.html
品性を改善した歌 作者不明 誰もが言う リリアック湾で 酒をあおれと 一糸もまとうなと 西風が吹くと耳にする あの賛美歌に歌われるように 衣装をまとわぬことは美しいもの 女も男もおもいおもいに歌う もっとも甘美なる堕落も 深刻なる悩みからの解放も この海岸で見つかるだろう リリアック湾で 罪を負うよりも与えるほうだというなら モロウウィンドにはすべてがある だが、教えよう ありふれた姿ほど 野蛮なものはない どこか熱にでも浮かされたような それすらも見つけられる センチネルとダガーフォールで 翼や鱗やひれのあるものがどんな奇妙なものを欲しようとも モロウウィンドならきっと見つかるだろう それは詩人のひらめき ブレトンもレッドガードも 気取ってはいられないほど楽しみ 倒錯したみだらな喜びにふける 至上の乱心を求めて 賢明なる放蕩者は東へ向かう 鋼の自制心もメッキのように剥がれてしまう モロウウィンドにはすべてがそろっている モロウウィンドには 罪がある だが、ダンマーを混同してはならぬ 生気のない西方社会で生きるそれと取り違えてはならぬ 比べてみれば、その敬虔さがわかるというもの だが、取り澄ましているわけではない ダークエルフが裸になるのを嫌がるとしても なぜならこのあたりでは そうした猥雑さは破滅的ですらあるのだから アシュランダーから濡れそぼる魚まで 喜びも痛みもすこぶる甘美に感じよう モロウウィンドなら たとえ親族とのつながりが希薄になろうとも モロウウィンドにはすべてがある 緑2 詩歌
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/200.html
狼の女王 第4巻 ウォーヒン・ジャース 著 筆:第三紀1世紀の賢者モントカイ 第三紀109年 タムリエルの皇冠を授かってから10年、アンティオチュス・セプティムは、臣下に彼の大いなる肉体的快楽の渇望以外の印象をほとんど与えなかった。104年、第2夫人グィシラとの間に産まれた娘は、彼の大叔母であった女帝の名にちなんでキンタイラと名付けられた。ふくよかに肥え太り、治療師が知る限り全ての性病の兆候が見られる皇帝は、政治に時間を費やすことはほとんどなかった。アンティオチュスの兄弟たちは、彼とは対照的に、この分野では彼より優れていた。リルモスのシロディールの女王ヘレナ──彼女の夫であったアルゴニアンの司祭王は処刑されてしまった──と結婚したマグナスは、ブラック・マーシュでの帝国権益に優れた手腕を見せていた。セフォラスと彼の妻ビアンキは、すくすくと育ちつつある子供達と共に、ハンマーフェルのギレイン王国を統治していた。しかし、スカイリムのソリチュード王国を統治する狼の女王ポテマほど、政治的に活躍していた者はいなかった。 夫のマンティアルコ王が没してから9年、ポテマはなお摂政として幼い息子ユリエルの補佐に当たっていた。宮廷は大いに賑わい、とりわけ皇帝に反感を覚える為政者たちの集う所となっていった。スカイリムの全ての国王たちは何年も定期的にソリチュード城を来訪していた。モロウウィンドやハイ・ロックなどの地からの使節団も同様だった。もっと遠い地方から来た者もいた。 第三紀110年 ポテマは港に立ち、ピアンドニアから訪れるボートを見つめていた。灰色にうねる波々を掻き分けて進むタムリエル製の巨船を何度も見た事があるが、それと比べても決して風変わりには見えない。よく見ると確かに、薄く張られた帆やキチン質で無骨な船体は、そっくり同じとは言わないが、似たようなものをモロウウィンドで見たことがあるのだ。それどころか、明らかに外国のものであるあの旗がなければ、港に並ぶ他の船と見分けがつかなかったであろう。塩気の効いた霧の立ち込める中、彼女は別の島からの来訪者に向かって歓迎の意を込めて手を差し出した。 そのボートに乗っている男たちは、ただ青白いというより全く色を持っていなかった。白みがかった透明なゼリーで作られたかのようだった。しかし、彼女は予めそのことを知っていた。国王と通訳者が降りて来ると、彼らの虚ろな目をしっかり見つめながらポテマは握手を求めた。国王は、雑音のような声を出した。 「オルグナム王であられます」と、たどたどしく通訳者が言った。「女王陛下の美しさを称えております。危険な航海の手助けをして頂いて、感謝の念を抱いておられます」 「とてもシロディール語がお上手ですのね」と、ポテマは言った。 「私は四大陸の言語に精通しております」と通訳者が言った。「アトモラ、アカヴィル、それにこのタムリエルの住人とも、故郷のピアンドニアの住人と同様に会話することが出来ます。実際のところ、ここの言葉が最も簡単ですね。私も、この航海は楽しみにしていました」 「この地で陛下は歓迎されていると、それから、何か欲しいものがあれば取り計らうと伝えてください」とポテマは笑って言うと、「ニュアンスは理解できていますか? 私が敬意を表していることを」と付け加えた。 「もちろんです」と通訳者はうなずいた。そして、彼が二言三言ボソボソと国王に何か言うとオルグナムは笑顔を見せた。彼らが話し込んでいる間波止場の方に目をやると、そこに今や見慣れた灰色の衣に身を包む男達が、アンティオチュスの家臣レヴレットと話しながら自分を見ているのに気づいた。それはサムーセット島のサイジック教団の連中である。とてもやっかいであった。 「外交特使を務めるヴォーケン公が、陛下をお部屋へ案内します」とポテマは言った。「非情に残念ではありますが、もう一組お迎えしなくてはならない客人がいらっしゃったようです。どうかご理解頂けますよう」 オルグナムが了解の意を表すと、彼女はその晩のピアンドニアの人々との夕食会の準備をさせた。例のアイジックと会うのには、多大な精神力が必要となるのだ。一番シンプルな黒服と金のローブ身を包むと、準備のため国賓室へと足を向けた。息子のユリエルは、玉座でペットのヨーグハットと遊んでいた。 「おはよう、お母さん」 「おはよう、ユリエル」そう言って、彼の体を持ち上げた。「まあ、しかし重いわね。こんなに重い10歳の子なんて、私、抱っこした事はないわ」 「きっと、僕が11歳だからだよ」とユリエルは彼女の冗談に調子を合わせて言った。「もう11歳になるんだったら、勉強に精を出すようにって言うんでしょう?」 「あなた位の年には、私は勉強に夢中だったものよ」 「僕は王様だもん」と、ユリエルは口を尖らせて答えた。 「でも、それに満足しちゃいけないわ」と、ポテマは言った。「すぐにでも皇帝になってもらいたいのですからね。分かっていますか?」 ユリエルはうなずいた。その瞬間、彼がタイバー・セプティムそっくりに見え彼女は驚いてしまった。冷酷な額、力強い顎。彼が年を取って子供らしいふくよかさが抜けたならば、その姿は偉大な大叔父に生き写しとなるだろう。その時、彼女の背後でドアの開く音がして、案内係が例の灰色の衣を着けた男たちを引き連れてきた。彼女が少し身を強張らせると、ユリエルは玉座から跳び下りて、部屋を出る間際、アイジックたちの代表者に挨拶をするため立ち止まった。 「おはようございます、アイアチェシス導師」と1音節ずつ区切った、王位にふさわしい調子でユリエルは言ってみせた。ポテマは心臓が飛び出しそうだった。「このソリチュード城、お気に召して頂けたのなら幸いですが」 「ええ、ユリエル王、みな気に入りましたとも」とアイアチェシスは喜んで言った。 背後のドアを閉めて、アイアチェシスとアイジックたちが部屋に入って来た。少しの間玉座に腰掛けていたポテマは、そこを降りて客人たちと挨拶を交した。 「お待たせしてすみませんでした」と彼女は言った。「はるばるサムーセット島から来てくれたのだもの。これ以上、お待たせするわけにはいきませんね。どうぞお許しを」 「なになに、大して長い航海ではありませんがね」灰色の衣をまとった者の中の1人が怒った風に言った。「ピアンドニアから来るわけでもありませんし」 「先ほど着かれた私の客人を見ましたのね。オルグナム王と従者の方達ですわ」とポテマは明るい口調で返した。「きっと、あの方達をもてなすのを、不思議に思っていらっしゃるんでしょうね。私達タムリエルは、ピアンドニアの方達を侵略者だと考えていますから。この件に関しても、他の全ての政治的問題と同様に中立を守るおつもりですね?」 「もちろんです」と、アイアチェシスは堂々と答えた。「ピアンドニアの侵入によって、我々が得るところも失うところもありはしません。我々サイジック教団は、セプティム王朝のいかなる組織にも隷属しませんし、誰が政権を取ろうとも生き延びてみせますよ」 「どんな雑種犬の毛皮にも潜り込もうとするノミみたいですね?」とポテマは目を細めて言った。「あまり自分を過大評価しない方がよろしくてよ、アイアチェシス。あなたの結社の子供たち、魔道士ギルドはすでにあなたがたの倍の力を持ってるし、その魔道士ギルドは完全に私の側についております。私達はちょうど、オルグナム王と協定の交渉を進めております。ピアンドニアと手を組んで、私がこの大陸で相応しい地位に、つまり女帝になったら、秩序の中で貴方に相応しい地位がどこなのかをお見せいたしますわ」 灰色の衣の者達からの視線も構わず、ポテマは堂々とした足振りで国賓室を後にした。 「レヴレット公と話しておくべきでしょう」と、灰色の衣の1人が言った。 「そうだな」とアイアチェシスは返した。「そうすべきだな」 レヴレットは、すぐに馴染みの居酒屋、「月と船酔い」に姿を現した。アイアチェシスに率いられて3人の灰色の衣のものたちが酒場に足を踏み入れると、彼らが通ったあとは煙と喧騒が一気に消えうせるようだった。煙草とフリンの匂いでさえ消え失せた。レヴレットは立ち上がると、一行を階上の小部屋へと案内した。 「考え直してくれたか」と言ってレヴレットはにんまりと笑ってみせた。 「諸君の皇帝は──」と切り出してからアイアチェシスは言い直した。「我々の皇帝はまず1,200万の金片と引き換えに、ピアンドニアの戦艦からタムリエルの西岸を防衛してくれるように、と打診してきたよ。そこで、我々は5,000万で引き受けると応じた。ピアンドニアの侵攻が引き起こす危険を熟慮すれば、いずれ皇帝の要求を飲まねばならないだろうがね」 「魔道士ギルドだったら、もっと気前よく──」 「きっと、何とも安上がりなことに、1,000万で飲むだろうね」とイエチェスは口早に言葉を被せた。 ポテマは夕食をとりながら、オルグナム王と通訳者を介して兄への謀反を進める取り決めを交わしていた。これほど異なった文化を持つ相手にも自分の色香の通ずることが分かって、彼女は非情に嬉しくなった。その夜、外交上の手段ではあったが、彼女は国王とベッドを共にした。しかし、彼が今までで最高の恋人であることをポテマは発見したのだ。事の前に、彼は或る香草を寄越した。それは、まるで時間の表面を漂っているような心持にさせるもので、いつの間にか自分が愛を求める仕草に没頭していることに彼女は気付くしかなかった。あたかも自分は冷たい霧のようであり、そして彼の繰り返される欲求の火を冷却しているような気分になってくるのだ。朝、ポテマの頬にキスをしたオルグナムの、その睫毛の無い白目が別れを告げるのを見てポテマは悲しみに貫かれた。 その朝船は港を出発し、サムーセット島、そして来るべき侵攻に向かった。海へ乗り出す船に向け、誰かの足音が背後に迫るまでポテマは手を振っていた。足音はレヴレットのものであった。 「アイアチェシスの連中は800万で手を打ちましたよ、陛下」 「ありがとう」ポテマは言った。「謀反には、まだ時間がかかりそうよ。彼らには国庫から支払っておいて、それから帝都に行ってアンティオチュスから1200万を受け取ってきてちょうだい。このゲームの見返りは大きいはずだわ。もちろん、貴方にもよ」 それから3ヵ月後、ピアンドニアの艦隊が完全に壊滅したとポテマは知らされた。アルテウム島に忽然と現れた大嵐によるものであったらしい。そう、サイジック教団の拠点とする港があるところだ。こうして、オルグナム王と船員たちは全滅した。 「時には、敢えて憎まれることよ」と、息子のユリエルを抱き締めながら彼女は囁いた。「そうすることで大きな利益が手に入るの」 物語(歴史小説) 茶2
https://w.atwiki.jp/brewwiki/pages/617.html
エルダースクロールズオブリビオン 【サイト名】海外人気ゲーム 【ジャンル】アクションRPG 【課金体系】従量315円 【容量】-KB 【通信機能】なし 【簡易評価】あなたの評価点をクリック! plugin_vote2 is not found. please feed back @wiki. / plugin_vote2 is not found. please feed back @wiki. / plugin_vote2 is not found. please feed back @wiki. / plugin_vote2 is not found. please feed back @wiki. / plugin_vote2 is not found. please feed back @wiki. 2007/06/01 【使用機種】w42s 【プレイ時間】3時間 【評価・点数】1/5 海外ゲーの移植らしいが、元ネタは知らない。 主人公が1人で、剣・魔法・アイテムを使って敵と戦う。 自分は職業にロードを選択してプレイ。 【良い所】 PC88の頃の古臭いゲームをやってる気分。 主人公の職業がいろいろある。(でも違いがよく判らん。) 火の玉2発あたるだけで死ぬヘボさ。でも死んでもその場で復活するユルさ。 【悪い所】 起動モッサリ、切り替えモッサリ、なによりキャラの移動速度がモッサリで睡魔に襲われる。 厨二がRPGツクールで作ったようなショボいストーリー。会話も厨臭くて萎える。 サイドシナリオがあるとかいっても2回くらい?しかも選択画面も出ず勝手に切り替わる。 経験値も武器も意味が無いほどに、主人公も敵も特徴がない。 アクションなのに、全く戦略もない。ただ当たって叩くだけ。 タイトルも言い難いが、アイテム名も長くて言い難い。 アクションのくせに操作性悪し。 斜め見下ろしで、十字キーで斜め移動に違和感があって、最後まで慣れなかった。 しかも、長いアイテム名が左右にスクロールするから激しく読み難い。 3時間でクリアって、どんだけ内容薄っぺらいんだよ! ストーリーがつまらんのにモッサリだとさすがに疲れる。 他の職業になるとストーリーが変わるのかもしれんが、もうプレイする気にもなれない。 これは地雷\(^o^)/爆発! 昔ながらのPCゲーム好き、クソゲー好きなら、★2つ。 サイト別/か行/海外人気ゲーム